2018/08/21(配信元:FCオーナーズ運営事務局)
今、どの企業も人材難に苦しんでいます。これは、ある程度のブランド力のあるFC店舗であっても同じです。従来のFCのブランド力に頼った人材募集法では、人材確保に苦戦する可能性が高いといえるでしょう。人材が足りなければ、店舗の運営が難しくなったり、販売機会を逃すことになったりします。
そこで今回は「PRを兼ねた人材募集法」と題して、販売促進活動を利用した人材の募集法を紹介します。
PRというと、一般的には「販売促進のための広報活動」というイメージがあるため、人材の募集とは何も関係ないように感じるかもしれません。しかし、実は深い関係があるのです。
そもそもPRとは、パブリック・リレーションズの略で「広報」という意味の他に「企業や団体が、社会とよい関係を構築するための活動」という意味も含まれています。つまりPRとは、売るためではなく、顧客とよい信頼関係を築くための活動であり、その活動の結果として売上がついてくる、というものなのです。
例えば、一度も利用したことのないお店でも、事前情報によって信頼できると感じれば、人は安心します。この考え方が、人材の募集にも当てはまるのです。
求人案内を見て興味を持った求職者は「本当のところ、どんなお店なのか?」と、必ず確認します。その際に「ここでなら働いていけそうだ」と思えるような情報があれば、応募の決断をしやすくなります。
よって、信頼関係構築のための店舗PRを行うことは、顧客の集客だけではなく、人材の募集にもつながるといえるのです。
同じような募集をかけているのに、人材が集まりやすい店舗や企業もあれば、そうでないところも。その違いは、信頼関係の構築の仕方にあります。
一般的に人材募集を行う際、特にアルバイトやパートを雇用するとき、仕事内容や時給、そして働く場所といった基本情報しか公開しないケースが多く、その限定的に公開された情報のみが、働き手にとっての応募先の判断材料になってしまっています。
そのため、例えば「時給が他よりもずば抜けて高い」「そこで働くことがステータスになる」という差別化できる強みを打ち出すことができるなら、求職中の人材にとって魅力的な求人情報になることでしょう。
しかし、現実的にはそのようなケースは稀。そのため、日頃から信頼関係構築のための情報発信を行い、ファンを増やしておくのです。人材が集まりやすい店舗や企業の傾向として、SNSなどを利用してのPR活動を積極的に行なっている様子が見られます。
SNSなどで店舗独自のPRを行うと、ファンを増やす効果を期待できます。さらに積極的にSNSを利用していれば、定期的に店舗の情報をチェックすることを習慣化させやすく、人材募集を出したときも、必然的にチェックしてもらいやすくなります。
しかも、信頼関係を構築できていると、「このお店で働きたい」という前向きな志望理由を持つ人材が応募してくれるという、うれしい特徴も。
人材の確保がうまくいっている店舗や企業は、日頃から信頼関係構築のためのPR活動をしっかりと行っているのです。
では、どのようにPRを兼ねた人材募集を行うとよいのでしょう。それはずばり、SNSや店舗独自のWebサイトなどを利用することです。なぜなら、低コストで効率的なPR活動を行うことができるからです(ただし、FCによっては、そういった店舗独自の情報発信を禁止しているところもあります。あらかじめ確認するようにしてください)。
PR活動を行う際のポイントは、ターゲティングと継続性。ターゲティングとは、求める人材像を具体的にしていくことです。人材の募集がうまくいかないところは、ターゲティングを行わずに「誰かよい人が応募してくれないかなぁ」と曖昧なままに求人案内を出しています。それでは魅力的な求人情報は作れません。それに、PRだからといって、FC情報や商品についての情報発信だけでは、ただの売り込みになってしまい、逆効果です。
そのため、「欲しい人材は仕事に何を求めているのか?」「どんなことに魅力を感じるのか?」「何を重要視して働き先を選ぶのか?」といったことを考え、その人材にとって魅力的な情報を発信するようにしましょう。
難しそうに感じるかもしれませんが、例えば、店長の失敗談や仕事観、普段は目にすることができないバックヤードで繰り広げられているスタッフの奮闘情報などで構いません。特に店長の失敗談は、店長に対しての親近感や人間味を感じてもらうことができるので、応援してくれるファンを増やすきっかけになりやすいでしょう。
次に、継続性です。万能感のあるPRを兼ねた人材募集法ですが、残念ながら、即効性を期待できるものではありません。なぜなら、信頼関係を構築することは一朝一夕ではできないものだからです。
PR活動は継続してはじめて信頼関係を構築でき、やがて人材募集の面でも効果が表れるようになります。
FC運営にあたって、店舗独自のPR活動を行うことは、同業他店だけなく、同FCの他店との差別化にもなる重要な経営戦略のひとつといえるでしょう。
PRを「販売促進のための活動」と捉えるのか「信頼関係を構築するための活動」と捉えるのかによって、その活動内容や得られる効果は大きく変わってきます。
PR活動をするのであれば、集客だけでなく人材募集にも影響を及ぼすような信頼関係の構築に目を向けましょう。
伊藤 伸朗
販売促進コンサルタント
「お客さまに選ばれる理由創り」をサポートする「ファンメイクプロデューサー」。開業者・起業家・小さな会社の経営者を対象に、目先の売上のためではなく、長い付き合いのできる「ファン客」を増やすことを重視した戦略を提供している。
HP「ファンヅクリ」