2018/05/09(配信元:FCオーナーズ運営事務局)
教育・保育業でFC開業するなら、その顧客となるのは、ずばり「子ども」です。子どもがいない場所に、子どもを預かったり、子どもを教育したりする環境を整えても仕方がありません。
現在、少子化が進んでいる日本において、教育・保育業でFC開業するのは無謀なのでしょうか?
今回は、昨今の子どもに関する教育費事情を統計から検証し、その将来性を見ていきましょう。
厚生労働省が発表した合計特殊出生率によると、2016年は1.44%でした。
※出典:厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計の年間推計」
なお、この合計特殊出生率とは、1年間の出生状況に着目したもので、その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計したものです。
統計以来、過去最低の合計特殊出生率であった2005年の1.26%に比べると、一見すると増加しているようにみえます。
しかし、厚生労働省が発表した人口動態統計による出生数を比較すると、2年連続で1,000,000人を割ってしまいました。
2005年:1,062,530人
2016年:976,979人
2017年:941,000人
そして、総務省が2017年4月に発表した15歳未満の子どもの推計人口は15,710,000人。前年の15,880,000人を170,000人下回り、1982年から36年連続で減少しています。
これらは、以下の傾向と連動していると考えられるでしょう。
つまり、教育・保育業の顧客となる子どもは、ただただ減少傾向にあるのは紛れもない事実なのです。
では、教育・保育業に未来はないのでしょうか?
小学生に対象を絞り、児童数で見ると、少子化により1990年から2016年まで、実に小学生だけでも937,000人から639,000人(31.9%減)と大幅に減少しています。
しかし、そんな中、私立小学校進学率は640,000人から770,000人(21.0%増)に増加しているのをご存知でしょうか。また、子ども一人あたりの学校外教育費(塾や習い事にかける教育費など)への支出は年々増加傾向にあります。
さらに、両親のワークスタイルに目を向けてみれば、1996年に専業主婦世帯と共働き世帯が逆転して以降、共働き世帯が増えています。しかも、核家族化が進み、2013年には計60.1%は一世代世帯に。
子どもを気軽に預けられる同居のおじいちゃん、おばあちゃんはおらず、子どもを育てる環境は万全ではありません。現在の日本は、教育・保育業に頼らなければならない状況にあるのです。
このように子どもの数が減少傾向にあるとはいえ、教育・保育業でのFC開業に対して悲観することはなく、むしろ教育・保育業にかかる期待は高まっているともいえます。
では、より多くの子どもたちや保護者に選んでもらえる教育・保育業を運営するには、どのようなことに気を配ればよいのでしょうか。それは、多忙を極める共働き夫婦の気持ちに寄り添うことで見えてきます。
例えば、「急な残業時にも臨機応変に対応してもらえる」「病時保育が可能」「保護者の送迎時の駐車スペースが確保されている」「自宅への送迎がある」といったサービスが受けられるのであれば、“費用<価値”となり、受け入れられるのではないでしょうか。
また、教育費に支出を惜しまない世帯にとっては、英語や楽器、または将棋など、同じ日に複数の内容を習うことができるようなサービスがあれば、多大な学校外教育の送迎負担を軽減できるため、喜ばれそうです。
子どもの数が減っているのは事実ですが、子どもの教育費事情から鑑みるに、経営の手腕次第で教育・保育業で成功の可能性は少なくないと思われます。
教育・保育業でFC開業を目指す際、もちろん立地条件や安全性の確保など、さまざまな検証が必要ですが、子どもや保護者のみならず、教育者・保育者に対する「接遇」についても見逃してはいけません。パワハラやセクハラといったハラスメント(と取られる行為、言動)から経営を守るためにも、「接遇教育」は採用後に取り入れていきたいポイントです。
社会のニーズに沿った教育・保育業視点で差別化を図ることが、これからのフランチャイズ運営には求められていくのではないでしょうか。
村田 淑子
ファイナンシャルプランナー
外資系保険会社にて保険業務に携わる傍ら、セミナーインストラクターとしてマネープランセミナーや相続セミナーなど多数開催。1927年に発足した、卓越した生命保険と金融サービスの専門家による国際的かつ独立した組織Million Dollar Round Table (MDRT)の会員でもある。プライベートでは、前職時代からフルキャリアながら、幼稚園役員、PTA、子ども会の役員などを14年間歴任。世界遺産検定や語彙力検定、マナープロトコールといった資格も持つ。