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不動産登記のプロが教える!FC開業に向けた物件の選び方

2018/06/18(配信元:FCオーナーズ運営事務局)

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不動産登記は司法書士のメイン業務です。私は司法書士として、その取引現場にも何度も立ち会ってきました。年間平均360回。開業して21年目を迎えますので、累計すると7,200回以上にも上ります。

期待に胸を膨らませてFC起業したはずなのに、あっという間に閉店してしまう……。どうして長続きしないのでしょう?もちろん、仕事そのものの行い方もありますが、「店舗を構えるFC」の場合、物件選びの失敗に起因することも大きいのです。

カギを握るのは「ターゲット」。FC開業に適した物件選びの条件

「あなたが加盟するFCは、誰をターゲットにするのか」。ここを間違えると最初からつまずきます。例えば、学習塾のFCであれば、そもそもターゲットである受験生が存在しない地域への出店はありえませんし、リラグゼーションサロンであれば、女性が立ち寄りにくい場所の選択はないはずです。

まずは「どのような人」がターゲットであるのか、家族構成、年齢、性別などを明確にし、出店エリアを決定します。しっかりとしたFCチェーンなら、この段階でマーケティングデータに基づき、エリアマネージャーなどが出店候補地を教えてくれるでしょう。

仮に、そのような指導がないFCチェーンに加盟するのであれば、開業エリアにつき、上記で掲げた条件の他に「見込み客数が事業成功に足りるかどうか」を念頭に検討します。事業用の不動産を借りるにはかなりの資金を要し、簡単に変更することは難しいもの。ですから、あなたが納得するまで検討することが必要です。

そして、出店エリアを決定したら、物件調査に取り掛かります。その地域を得意としている賃貸不動産業仲介業者に依頼し、必ず自分の目で見てください。最近はVRによる物件閲覧も可能ですが、あくまでも「商売で勝負する」物件を選ぶわけですから、足を運んだ上で環境や人通りなど、直接確かめるようにしましょう。

当然ながら、あなたが選ぶFCによっても、物件の選び方は変わります。繁盛店となれば「路地裏でも大人気」といった逸話も生まれますが、FC起業はそうはいきません。選んだFCチェーンともよく相談して、多くの集客が見込める物件を吟味しましょう。

FC起業は物件の選び方で運命が変わる!?成功事例と失敗事例

物件の選び方がいかに重要か、実際の成功事例と失敗事例をご紹介します。

脱サラしてラーメン店を始めたAさん。ラーメンの味では評判のFCに加盟したこともあり、かなりの自信がありました。一日も早く起業したかったAさんは、本通りから一本入った場所に格安の居抜き物件を見つけ、すぐに契約することに。しかし、開業後、客足は思うように伸びません。一年もしないうちに、その店は閉店してしまいました。

飲食店は、特に店舗の「場所」が大切です。味で評判のチェーン店加盟を選択しても、やはり人通りのなさには勝てなかった事例です。

「自分の珈琲店を持ちたい」と、脱サラする数年前から描いていたBさん。起業前から自らカフェ巡りをすることも頻繁で、人通りも踏まえ開店エリアや自分の持ちたい店のイメージを明確にしていました。関東の某駅から7分ほどの場所に、偶然、前のオーナーが廃業するカフェがあり、その場所を居抜きで契約。やはり、もともとカフェをやっていた場所であり、数年前から具体的なイメージを構築していたため、まるで店を引き継ぐように順調に客足を確保。業績は上向きです。急がず、明確なイメージを持って物件選びに着手していたからこそ、よい物件に出会うことができたのでしょう。

あなたが選ぶFCチェーンにとって最適な物件かどうか

なお、物件のタイプには大きく2種類があります。ひとつは、内装や厨房をそのまま前の使用者が残して明け渡した「居抜き物件」。あなたが前の店舗と同じ業種を行うのであれば、内装や設備をそのまま使用することができ、開業資金をそれだけ押さえることが可能です。居抜き物件から、ミシュランの星獲得まで繁盛店になった飲食店もあります。

もうひとつは、内装が何もない空の状態の「スケルトン物件」。コンクリートの壁やダクトなどが丸見えの物件です。あなたの好きなように内装を仕上げることができますが、その分、コストがかさみ、工期もかかります。起業は、店舗を構えて完了ではなく、その後で人を呼び込む広告費、HP作成費、業種によっては材料費や原料費、人を雇う費用など、結構なコストがかかります。初期投資は抑えられるに越したことはありません。

ただ、コスト面、工期面などを総合すると居抜き物件のメリットが高いように思われますが、加盟するFCチェーンによっては「店舗レイアウト」が決まっていることもあります。ゆえに、最終的には「あなたが選ぶFCチェーンにとって最適な物件かどうか」が物件の選び方として重要ポイントとなります。

物件選びは慎重に。FC本部の意見を素直に参考にすることも大切

ほとんどのFCチェーンは、マーケティングデータを蓄積し、出店エリアについてアドバイスしていますので、本部の意見を素直に参考にすることも大切です。できれば、本部があらかじめ確保している物件を、そのまま引き継ぐなどすると失敗が少ないでしょう。

FC開業を目指すなら、物件選びは慎重に行ってください。

山口 里美

司法書士・フランチャイズアドバイザー

1993年司法書士資格を取得、旅行業から法律業へ転身する。1997年に事務所を開設し、現在は日本最大級の女性代表司法書士法人として全国9拠点にオフィスを構える。著書は11冊を数え、金融機関・生命保険会社など主催の講演活動は年間50回以上に上る。全国司法書士女性会理事/全国司法書士法人連絡協議会理事などを務めるほか、フランチャイズアドバイザーとしても活動中。東京・大阪の駅前にフランチャイズステーションを構え、司法書士の目線を活かして独立開業を支援。丁寧なヒアリング力で、相談件数は最多を誇る。

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