2018/06/08(配信元:FCオーナーズ運営事務局)
FC開業で融資を受ける際、よく使われる金融機関は日本政策金融公庫と地元の銀行・信金・信組です。ただ、FC加盟で創業する場合、貸手側である金融機関から「ビジネスが確立された他力本願型の商売」と受け身的に思われてしまう可能性も否めません。
そう思われないようにするためには、以下のポイントを理解して、金融機関との面談の際にしっかりとアピールすることが重要です。できれば「事業計画書」としてまとめることをおすすめします。
「うちのFCに加盟するのだから大丈夫。上手くいきます」とFC本部の担当者が言うままにそれを金融機関に話すのでは、融資担当者に見抜かれてしまいます。残念ながら「寄らば大樹の陰」といった感覚でFCビジネスを始める方がいらっしゃるのも事実です。
金融機関が評価するのは、例えばこのようなストーリー。「いつか自分の店を持ちたい」と考え、10年以上、居酒屋で働いてきたAさんが、経験や努力を積みながら業界研究をしていくうちに、ある飲食店のFCを知り加盟した。
上記の例でいえば「長年、飲食業を経験してきた」「自分の店を持ちたいと経営を志していた」「経験や努力を積んできた」「業界研究をしてきた」などがプラスに評価され、融資を受けられる可能性が高くなるでしょう。
一方、飲食や接客と全く関係ない職歴ばかりなのに、いきなり飲食店のFC加盟をして創業するとなると、どうしてこの事業を始める必然性があるのか融資担当者は疑問に思います。先ほどのAさん以上に、動機やFC加盟の必然性を金融機関に説明することが求められるでしょう。
次に、資金使途(資金の使い道)を明確にしましょう。FCビジネスを始めるにあたっての主な資金使途は以下のとおり。
返済原資とは、融資の返済財源のこと。金融機関の融資は、貸出期間が1年未満か否かに応じて短期と長期に分かれます。余程、自己資金が旺盛で借入額が少額であれば別ですが、一般的にFC開業資金は長期資金で組まれます。
その場合、借入期間中、毎年いくら利益を出す(予定)なのかが金融機関の見る返済原資です。さらに付け加えれば、機械装置購入費や内装設備工事に伴う減価償却費も金融機関の見る返済原資に入れられます。少なくとも開始から5年程度の利益予想と減価償却額を押さえることが必要です。減価償却額は、機械であれば販売業者、工事費であれば税理士などの会計専門家に尋ねてください。
保全とは、金融機関から借り入れるにあたって、金融機関が万一(債務者が返済できなくなった場合)を考慮して債務者に要求するものです。代表的なものとして「担保」「保証人」「保証協会」を指します。
現状、日本政策金融公庫の融資商品や保証協会の各商品のレートは、1%前半~2%半ばを推移しています。低金利の恩恵を受けているといえるでしょう。
金融機関に融資を申し込む際、忘れてはならないのが、融資の審査期間です。消費者金融のように「申込後○時間以内」ということはありません。特に、FC開業資金では事業資金としての借入が初めてであるケースが多く、審査の結論が出るまでは概ね1カ月以上の期間を要すると考えておいたほうがよいでしょう。融資が必要な日が分かっているなら、逆算して行動を始めてください。
以上、融資を受けるために金融機関に相談する際のポイントをお伝えしました。
融資は、とにかく時間がかかります。よい専門家を見つけて二人三脚で進めていくことが事業のスタートを早め、かえって合理的です。
松本 孝徳
経営コンサルタント
1964年、兵庫県西宮市生まれ。兵庫県立西宮今津高等学校卒業。明治学院大学法学部卒業後、株式会社近畿銀行(現近畿大阪銀行)入行。国際業務と債権回収業務の経験を積む。 その後、事業再生コンサルティングファームを経て、得意とするガバナンス分野で東証一部上場企業のプロジェクト・マネージャーを務める。兵庫県などが出資する第三セクター・北条鉄道株式会社の取締役副社長に就任。再生の過程は「日経ビジネス」や関西テレビ「ニュースアンカー」に取り上げられる。経営職、最高財務責任者(CFO)の経験多数。2011年、ストラテジック・コンサルティング合同会社設立。2012年度からは海外進出日系企業のターンアラウンド(事業再生)も展開。
HP「ストラテジック・コンサルティング」